オッサンはDesktopが好き

自作PCや機械学習、自転車のことを脈絡無く書きます

2021年を振り返って

 早いもので2021年も終わります. 取り留めのない雑記になりそうですが,今年を振り返ってみようと思います.

1. 研究

(1) 自転車レースAI(強化学習)

 年の初めから,自転車ロードレースっぽいことを強化学習にやらせるトライをしました*1*2*3*4. 試みとしては面白かったと思いますし,予想していた以上の成果が出ました. スリップストリームの習得から初めて,最終的にはスプリントトレインっぽい事まで学習させました. もっと複雑な学習に挑戦しても良かったのですが,個人でやっている研究ということもあり,美味しいところだけやってそのままにしています. またモチベーションが沸けば,続きを作るかも知れません.

 ”美味しいところだけ”という言い方をしました. AIレースを実際の(=人間が行う)レースに近づけようとすると,おそらく,スプリント勝負をするAI,逃げを打つAI,,,みたいのをそれぞれ別ネットワークでトレーニングして,それらを選択して発動させる監督AIを更に別ネットワークで作ることになると予想します. 一つのAI(=ニューラル・ネットワーク)に幾つもの戦略を学習させたり,戦略を選択させることは難しいからです. 個々のAIにはシンプルな事をやらせてそれらの組み合わせで複雑さを出す,というのが僕が辿り付いたAI開発のポイントです. 専門性の高い素材を組み合わせて成果を出すというのは,部位ごとに機能を分担させている人間の脳や,分業制が基本の社会構造と近しいと言えます.

 ここで問題になるのが,実現させたい複雑さがシーンごとに異なることです. 今回は自転車レースでした. 逃げ,スプリントといった既知の戦略が発生しやすいようなお膳立て(=プログラミング)を重ね,AIレースを実際に近づけました. これに価値を見出して下さる方もいらっしゃるかも知れませんが,僕自身はやる程に魅力を感じなくなりました. 特定の目的に特化した作り込みは,別の目的では使えないことが多いからです. Alpha Go Zeroは素晴らしい技術ですが,囲碁という特定の目的に特化して作り込まれた,所謂,弱いAIです. 弱いAI(=或る目的に特化したAI)を追求することは強いAI(=汎用的なAI)の実現には結びつかないのです.

 自転車レースAIを作った目的は,人間のレースを模擬することではありませんでした. 予備知識を持たない強化学習が行うレースから,現存しない未知の戦略を創発出来るかを試したかったのです. 未知の戦略を実際に見つけるところまでは行きませんでしたが,その片鱗は感じました. 同時に,リアルに近づけようとAIを作り込んでしまうと,創発の可能性が低くなる事も理解しました.

 後述する学会発表でも言いましたが,AIの機能を追求すると,AIが意中の答えを出す為のお膳立てばかりをすることになります. 結果,汎用性が下がってしまいます. 企業的な目線で費用対効果を期待できるケースは決して多くありません.

 高々32×12 pixelの画像空間内でのレースなんておもちゃだ,と感じる方は多いと思います. でも,そのおもちゃで遊んでみるのがAI研究の意義だと,僕は考えています.

(2) AI事業の未来

 2021年は,職場でもAI研究をメインでやりました. その所為もあり,これって金になるのか?と今まで以上に考えるようになりました.

 先日の記事*5でも書きましたが,ディープ・ラーニングは差別化が難しく,尖っていくのが難しい素材です. また,尖っていこうとしてプログラムを作り込んでしまうと,上述した様に汎用性が下がってしまいます. それでも長期的な事業性があるようなテーマ,例えば,監視カメラ等であれば価値があります. ただ残念ながら,画像系は飽和しかかっていると感じます.

 画像系が頭打ちという考えから,今年はGoogleのTensorflow 3Dにかなりの時間を使いました. 職場でやっているので詳しくは書けませんが,Googleの作り込みが良い感じで甘くて,尖っていける余地があります. でも,Googleが本格的に3Dに投資して来ると,画像と同様にプラットフォーム化されてしまう可能性があります. その点,git hubのソースが長いこと更新されない事から,Googleの入れ込み具合はそこまでではないのかも知れません. iPhone Lidarも思ったほどの盛り上がりを見せません. 程よくニッチな状態がこのまま保たれると有難いと思っています.

 AI事業という広い捉え方をすると,ディープ・ラーニングとか強化学習といった流行りネタは飛び道具にしかなりません. 扱えるデータ構造が限られるからです. また,データ活用の仕方はシーンによって異なりますし,日々ダイナミックに変化します. その意味で,古典的な多変量解析をPythonを使って日々更新を重ねながら運用するというのが,(地味で面白みは無いですが)到達点でしょう. AIの内製化が進んでいるという話を聞きます. AIビジネスの向かう先はB to Cの製品開発では無く,B to Bのコンサルティングになると思います.

(3) 学会発表

 今年,久しぶり(多分,10年弱ぶり)に学会発表をしました. 発表することを許可してくれた職場に感謝しています. 5年前だったら,”遊んでんじゃねぇ”と一蹴されていたかも知れないです. 小さな会社では特にかと思いますが,研究者を馬鹿にするような風習はどうしてもあります. めげずに情報発信を続けた成果だと自分を褒めたいです. 理解を示してくれた上司にも感謝しています.

 先刻,去年の振り返りを読んでいたら,自身が学会を批判するような事を書いた事を思い出しました. 学会ではなくSNSで発表すれば良いじゃん?と... その通りなんですが,発表して得た気付きもありました.

 海外の学会で査読付き論文を発表しようとすると,投稿から掲載までに半年から1年位掛かります. この時間が無駄だと思うのは,今も変わりません. 執筆作業にかかる時間も膨大です. 慣れない英語で,学会毎の癖に合わせて書いて,ネイティブ・チェックも受けて,,, 学生時代には書くだけに1ヵ月以上を掛けていたと思います. 工数制の職場でやろうとは思えないです.

 これに対して,学会発表は良い感じで緩いです. 年に2回大会がある大きな学会で発表したので,講演申し込みから発表までが3ヵ月でした. 程良く時短です. また,一応お金を払って発表する側なので,何を言おうと自由です. 学術界に属している訳でも無いので,失うものもありません. そうした気楽さから,メーカー所属ならではの生々しさを出してやろうと思って,この記事内にも在る”AIって意味ある?”感を含んだ発表をしました. オンラインだったので聴衆の反応が判り難かったのですが,一定の評価はあったと思っています. 研究出身のサラリーマンだからこそ出来る事・すべき事を,ここに見出せるかも知れません. 継続していきたいと思っています.

 学会とは少し違うんですが,特許取得に取り組む機会もありました. これも職場の事なので詳しく書きませんが,国際特許取得に向けて出願中です. 今はどうか知りませんが,僕が大学にいた当時,特許は査読論文と同等の実績として評価されました. 今もそうなら,論文よりも特許の方が美味しいと思いました. なにせ,弁理士さんが全ての書類を書いてくれます. 特許庁が一元審査するので,審査官毎の癖は一定に在るそうですが,学会よりも評価基準が整っていると感じます. 研究者ならば一度は経験のある”理不尽なリジェクト”が起こり難いでしょう. 勿論お金はかかります. でも,月単位の工数を費やすことを考えれば決して高くない額です. 資金が豊富な研究者さんは,どんどん弁理士さんを頼るべきだと思います.

2. 自転車

(1) レース

 シーズン前半の富士チャレ*6と富士ヒル*7は,完璧では無いものの満足のいく結果を出せました. 特に,富士チャレの先頭集団に残れたのは大きな収穫でした. もっとレースに出て,もっとレースを楽しみたいと思いました.

 一方で,シーズンの後半は少し苦戦しました. チームで走ったしもふさ*8では表彰台に上がれましたが,ソロで出場した袖ヶ浦160 kmの2戦*9*10は共に序盤で千切れました.

 原因は色々在ったと思っています. 100 km(富士チャレ)と160 km(袖ヶ浦)の難易度の違いは勿論ありますが,それ以上にコンディショニングの違いがありました. 言い訳になりますが,先ずはコロナですね. 乗鞍が駄目(中止)だなってのが早い段階から解って,目標を失ってしまいました. 伊豆一に目標を切り替えてフィットネスは維持したのですが,先人たちがおっしゃっている通りでロングライドだけではレースで通用しません. 短時間・高強度の問題は勿論ですが,ペダリングやフォームにも変化が生じます.

 袖ヶ浦が終わってから気付いた事ですが,ロングライドばかりだと空力を意識しなくなる為か,以前よりも屈みが小さくなっていました. これに派生して腕が突っ張り気味になり,上半身に力みが生じた結果,腰痛を起こしていました. 大きく屈んだ方が上半身が力みそうですが,僕の場合は不思議と逆です. 股関節の屈曲を大きくした方が,関節抵抗と腹圧を利用できるからだと思います.

 また,これも最近解って来ましたが,クリート位置を変えた事で右脚に大きな負荷が掛かっていました. これも,レース中の痛みの原因になっていた様です. 間抜けな事この上ないなぁ...💦 でも,これを失敗と捉え,変化を恐れる様になっては駄目です. 異なるポジションとかフォームを試すのは良いことです. 大切なのは,変えた事で効果があったかをきちんと検証して,効果がないならば元に戻すことですよね.

 この辺,シーズンオフ中に修正して固めたいと思っています.

(2) トレーニン

 良くも悪くも,高強度の練習がポイントになること実感しました. 富士チャレは無酸素系のワークアウトで結果が出ました. 何故同じ事が袖ヶ浦で出来ないんだ?って思うんですが,人間なのでロボットの様には行きません. 如何に,キツくて嫌いな練習を楽しくやるか?ですね.

 最近ヒントになると思っているのが,Zwiftレースです. 袖ヶ浦の前には遊んでいる感ががあって敢えて封印していたのですが,効果が高い気がします. リアルレースの後でやってみると良く出来ている事を理解できます. 集団の後方で苦しむ感覚とか,引き終えた後で集団に付く時の苦しさとか... この辺も手伝って,ワークアウトよりは遥かに楽しいです. 今は全てBクラスで走ってますが,Aクラスを織り交ぜれば結構なトレーニング効果が出るかもですね.

(3) 機材

 去年新車を買った*11ので大きな買い物はしなかったんですが,Roval Rapide*12が納品されたのが2021年の初めでした. 色々な意味で,今年はこのホイールに遊んでもらった感じです.

 先ず,タイヤについて色々考える様になりました. そもそも,去年まで使っていたMavic Cosmic Proでは,選択肢が殆ど無かったんです. 当時はコンチネンタルのチューブレスレディが無かった(?)事もあり,Mavic以外で履けるのがCorsaしかありませんでした.

 クリンチャー仕様のRapideでは選択肢が格段に広がります. ヒルクライムで軽量のGillarを使ったり,着脱のし難さからGP5000を諦めたりと,,, お蔭でタイヤ交換の技術はかなり向上したと思います. で結局,Corsaに戻しましたwww

 レーシング機材をトレーニングで使う怖さも,Rapideが教えてくれました. 良い機材とか,新しい機材を使う事のワクワクさは自転車に乗るモチベーションの一つです. こいつは同時に怖さをくれますwww 練習用のホイールを相変わらず検討中です. 最近,SCOPEのミドルグレードが気になっています.

3. 2022年の目標

 結果的には,2021年に立てた目標は殆ど達成できませんでした. でも,失敗したとは思っていません. 1年間を通じて,ダイナミックに最善を尽くした結果だと思っています. 2022年もどうなるのか全く予想できません. それでも,目標があった方が楽しいので公言します.

 2022年は30代最後の年なので,やりたい事は沢山あります. 挙げすぎると重くなっちゃうので絞って:

4. 結び

 本年も大変お世話になりました.