オッサンはDesktopが好き

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ロードバイクのトレーニング中に接触事故にあった話

 こんにちは.changです.

 先日,ロードバイクのトレーニング中に交通事故に会いました. 相手が居る事なので記事にしようか迷いましたが,事故を単なる事故にしない為に,これからの自身に向け,また(思い上がりかもですが)同様の境遇で走っている自転車乗りの方々に向けて記録します.

 この記事の目的は事故の相手を責める事ではありません. ロードバイクを安全に楽しむにはどうすべきか考えて,読んで下さった方がいらっしゃれば一緒に考えて頂いて,答えは出ないなりにもアクションを起こす事が目的です.

Note:
因みに,事故の相手はとても親切な方で,直ぐに警察と救急車を呼んで下さいました. 全面的に自分が悪いと証言されていて,保険屋さんとの話も始められています. 賠償等はこれからですが,人間間のモメゴトが無さそうなのは不幸中の幸いです.

1. 事故の状況

 事故が起きたのは,平日の朝6時過ぎです. 地元の自転車乗りなら誰でも知っている有名な峠を一人で下っていました. 平日の朝なので流石に自転車乗りは少なめでしたが,それでも事故にあう迄の40 kmの道のりで数人とすれ違いました. 因みに,Stravaのログではこの峠を過去に68回登って,43回下った事になっています. サイコンを付けずに走っていた期間も在るので,実際にはもっと走っていると思います.

 対向車線を走って来た大型トラックに接触しました. こちらからは右コーナー,相手からは左コーナーです. コーナーに入る前からトラックの頭部分が見えていたので,すれ違いに備えていました. サイコンのログは40 km/h強で止まっていたのですが,もっと減速していたと思います. コーナーに入ってから,トラックが大きく膨らみ,中央線を越えて走っている事に気付きました. 僕が走っていた左車線は半分も開いていなかったと思います. 何とかかわそうとしましたが,進路を変えられずにトラックの後方部にぶつかりました. 自転車が通るスペースが完全に無かった訳では無いですが,バイクを右に倒している体勢から進路を変えてあの隙間に入るのは難しかったです.

 右肩付近でトラックの後方部(荷台の車輪付近)にぶつかり,落車しました. 吹っ飛ばされる事無くそのまま右半身から倒れたので,衝撃はそれほど大きく無かったと思います. タイヤの下敷きになる事もありませんでした.

2. 事故の後

 身体に痛みはありましたが,立ち上がってガードレール先の歩道に移動出来ました. 腕も動かせた事から,鎖骨も折れて無さそうだと判りました. ただ,右側の背中部分(肩甲骨の近く)にズーンとした痛みがあり,「アバラにヒビ位はあるかな?」と思って救急車を呼んで貰いました.

 警察よりも救急車の方が先に来ました. 身体の事を考えれば直ぐに搬送されるべきなのですが,少し躊躇しました. 警察との現場検証に立ち会えなくなるからです. 穿った事を言えば,相手の方に好き勝手に,こちらに不利になる様な証言をされる可能性があります. また,バイクを現場に残して行くのも良くないです. そんな事を思いつつも搬送されようとしたタイミングで,警察官が到着しました. 警察官とは身分の確認程度のやり取りしかしませんでしたが,バイクは後で搬送先の病院に運んで下さるという話でした. 相手の方にも悪意がなさそうだったので,現場検証をお任せして病院に向かいました.

 搬送中も引き続き背中に痛みを感じてましたが,意識ははっきりしていました. 「スポーツ心臓だね」という救急隊員の方の冗談に応える余裕もありました. 病院に到着後,痛みの酷かった肩-背中部分のレントゲンを撮り,骨折が無い事を確認しました.

3. 怪我の状況

 右肩-背中に打撲を,右肩,右肘,右大腿骨の付け根付近に擦過傷を負いました. 擦過傷は浅めで,医師からは「服に血が付くのが嫌でなければ(傷パット等を貼らずに)そのまま乾かして良い」と言われました.

 事故から数日が経ちますが,未だ痛みあります. 咳をすると痛いし,重い物を持ったりとかはしたくない感じです. 打撲のダメージが残っているのでしょう.

4. バイクのダメージ

 ダメージが大きかったのは,右のSTIレバーです. 内側に折れ曲がり,ブレーキが掛かった状態でロックされていました. 右ブラケットからトラックにぶつかったのだと思います.

Note:
下ハンを持っていたのが幸いでした. ブラケットを握った状態で接触していたら,右手の指が潰れていたと思います.

 不思議と,フレームやホイールに大きな傷やワレはありませんでした. ただ,今ショップで診てもらっていますが,少なくともフレームと前輪ホイール,ハンドルは廃棄して交換しようと思っています. カーボン製ですので,外傷が無くても剛性が落ちている可能性があるからです.

5. 事故を振り返って

 どうすれば事故を防げたのか,答えを見出せません. 正直,相手側の運転に非があります. ただ,大怪我を負ったり,それこそ死んでしまったとしたら,どちらが悪いとかは関係ありません.

 綺麗に整理出来そうにないので,ポジティブだった点とネガティブだった点を羅刹する形にします.

(1) ポジティブな点

転ぶ事への耐性

 今回,走行中の大型トラックとの接触事故としては,軽傷だったと思います. 運が良かった部分もありますが,我ながら転ぶのが上手いと思います.

 変な言い方ですが,とても冷静に落車しました. トラックに接触した瞬間の事も良く覚えています. ガードレールとトラックの間のスペースが見えていつつも「やはりかわし切れないか...」みたいな感じでぶつかりました.

 一般論として,落車する時はパニックに陥って変に身体をこわばらせたり,ブレーキを掛けないのが良いです. リラックスして,ダメージが少ない箇所で衝撃を受けます. J Sportsの解説者の方が同様の発言されていた記憶があります. ロードバイクでは滅多に転ばないので,こうした習慣や耐性を身に着けるのが難しいです.

 数年前からやっているMTBの経験が役に立ったと感じています. MTBはスキーと同じで,転ぶのが前提のスポーツです. ロードバイクしか乗らない方よりは転び慣れています. 転ぶためにMTBを勧めるつもりはありませんが,冬場のクロストレーニングにオフロードを取り入れる事は,ロードバイクの安全走行についても間違いなく有効だと思います.

Note:
20年以上昔ですが,柔道をやっていた経験もあります. 受け身の技術も多少身体に残っているのかも知れません.

アーム & レッグカバー

 僕は日焼け出来ないので,真夏でもアーム & レッグカバーを付けます. 日除けが目的ですが,転んだ時に肌を守る効果も確実にあります. 自転車用の日焼けカバーはタイトでそこそこ強度もあるので,"地面が肌を持っていく"のを防いでくれます. UCIルールで靴下の長さが決まっている関係で,実業団レースでは夏にレッグカバーを付けられません. ルール改正を強く望みます.

(2) ネガティブな点

下りを攻める事

 僕はピュアクライマーです. スピード強でも無いので,下りを攻める習慣は元々ありませんでした. ただ,レースを走る中,,,特に去年からは実業団レースやツールド沖縄を走る様になり,下りをある程度攻められないとレースで戦えない事を痛感してきました. 実業団レースがシーズンインしてからは,下りの速度を意識的に上げていました. 今シーズン,ローラーを減らして実走の朝練を増やした目的の一つも下り強化です.

 レースをしないのであれば,下りを攻める必要は全くありません. 今回にしても,ブレーキをダダ握りして路肩に張り付いていれば接触しなかった可能性はあります. 身を守る為にレースを止めるというのは,一つの選択肢ではあります.

Note: レースへの向き合い方については今答えを出せないし,出さなくて良いと思っています.

 ただ,今回のケースについては,下りを攻めていたから事故にあったとは思い難いです. こちらが自動車やオートバイであれば,問答無用で正面衝突していた状況でした. 公道を走るとき,コーナーの反対側に車が居る事まではカーブミラーでわかっても,その車が膨らんでいるかとか,どの位の速度で走っているかまでは判らないと思います. 結局,相手を信じてコーナーに入る事しか出来ません. それを避けたいなら,自転車だけでなく,すべての交通手段を放棄する必要があります. それこそ,杞憂というものではないでしょうか?

睡眠不足

 朝練をする日は3:30に起きます. 事故の前日は雨で朝練が出来なかったので,仕事の後にローラーをやりました. 早めに切り上げましたが,それでも21時近くまでローラーをやった後に風呂に入って洗濯と食事をして,寝たのは23時半でした. 3時間睡眠は僕にとって割と日常なのですが,「夜練の8時間後に朝練はキツイな」と以前から思っていました. 今回,ライド中に眠気が在ったり集中力が落ちていたつもりは無いですが,体調万全では無かったのかも知れません.

デイライトの明度

 デイライトを点けていたのですが,Garminマウントにつける薄型のやつを使っていました. 消して明るくは無いです. より明度の高いライトを使っていれば,より早く相手に気付いて貰えた可能性はあります.

 ロードバイクの部品を選ぶとき,どうしても軽量性を重視してしまいます. ですが,トレーニングでは車重とかどうでも良いですね. もっと安全性を重視した部品チョイスをすべきでした.

車載カメラ

 Insta360をドライビングレコーダーとして使っていますが,この日は付けていませんでした. 車載カメラは事故を防ぐものではありません. 今回は相手が非を認めて下さっているので不要でしたが,身の潔白を掛けて戦わなければならない状況も起き得ます. 自身やチームメートを守る為に,車載カメラが必須だと改めて思いました.

Note:
アクションカメラだとバッテリーの問題でライド全体を撮れないです. Garminから出ている自転車専用のドライビングレコーダーを導入しても良さそうです.

単独走行

 今回一人で走っていた訳ですが,複数人で走った方が目立つし,危険に気付き易いです. 一人で行うトレーニングは,去年迄のようにローラ中心にした方が安全と言えます. ただ,”一人で外を走るのを完全に止めろ”と言われると少し考えちゃいます.

5. 何の為に走るのか?

 哲学的な話になりますが,自転車乗りは誰しも,事故にあうリスクを解った上で公道を走っています. 僕はプロ選手ではありません. 趣味で自転車に乗っています. トレーニングをするのも,レースに出るのも,誰にも強制されていません.

 正直,何故走っているのかわかりません. 日常よりも少し危険で,スリルを感じられる事に惹きつけられるというか,止められないんです. それが無いと生きている感じがしないと言うか...

 僕は独身のアラフォー男で,種の繁栄に全く寄与していません. ヒトは,一般的に50歳前後で生殖能力を失います. 僕の生物学的存在価値は無くなりかけていると言えます. また,残念ながら,世の中に貢献するような仕事もしてないです. 努力してはいますが,,, その中にあって,毎日のルーティンをこなして飯を食っているだけでは物足りないのでしょう.

 事故が怖くて移動を放棄するのは杞憂だ,と上述しました. ロードバイクに乗ると事故にあうかも知れないというのは,今この瞬間に核ミサイルが降ってくるかも知れないのと同じ事です. 先日,ツール・ド・スイスのレース中にジノ・メーダー選手が亡くなりました. 数年前,マイケル・スカルポーニがトレーニング中の交通事故で亡くなりました. 同等にショックな出来事は世の中に幾らでも在ります. でも,自転車レースは無くならないし,核兵器も無くなりません. 人間やロードバイクが単独で存在している訳では無く,世界との関係性の中で存在しているからです. 一人の力で世界を変えられないのと同じ理由で,世界との関わり方(=生き方)も簡単には変えられません. 頑固になるべきではありませんが...

 落車するつもりで自転車に乗る人はいないし,事故を起こすつもりで自動車を運転する人もいません. そう信じたいです. それでも,ちょっとしたミスや油断で事故は起きます. 結果として,怪我をしたり,命を失う可能性があります. それは,僕自身が世界に存在する仕方の一部なのだと思います. その存在性の中で僕はロードバイクに出会い,仲間に会い,人生を楽しむ事が出来ました. 事故だけを否定する事は出来ません. 世界と自身の関係性に向き合いながら,走り続けるしかありません.

6. むすび

 まとめられないので,ここまでにします. とりま,今シーズンのレースプランは白紙に戻します. 先ず,身体とバイクのコンディションを戻すことに専念します.